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教えること、教わること
こんにちは、平井です。

すこしずつ寒くなってくると、「楽しい季節が来るぞ」というソワソワした気持ちになってしまいます。

北志賀の雪山で生活しながら、スノーボードのインストラクターをしていたことがあります。
30名ほどのインストラクターが寝泊りする、ゲレンデの真ん中にあるロッジで暮らして、昼間は修学旅行生にスノーボードを教え、ナイターでひたすら滑るという毎日。結構ハードな生活環境で、食事係がつくる食べ物は笑えるくらいに不味くて、それでも下山するチャンスがないのでギリギリのものだって食べたし、雪の重さで屋根に穴が開いた日も、停電で暖房が止まった日も、極寒のなか構わず眠りました。今考えるとおかしなことがたくさんありましたが、とにかくそのころはスノーボードさえできれば何も不満はありませんでした。

あの頃、教える立場にいながら、本当はわたしのほうがたくさんのことを教わったと、振り返るといつも思います。スノーボードはとても楽しいけれど危険なスポーツで、両足を固定された状態で斜面に向かうのは、誰だって怖い。でも、その恐怖を乗り越える瞬間を何度も何度も見せてもらいました。

スノーボードに初めてチャレンジする人は皆、必ず一度壁にぶつかります。最初は何も考えずに勢いで滑れていた人も、何かの拍子でエッジがつまずき転倒し、頭を強烈にぶつけたりする。そうすると突然、恐怖心が体の動きを奪ってしまいます。けれど、だいたい3日間のスケジュールで指導すると、必ずみんなその壁を乗り越えてくれて、最初とは比べものにならないくらいに目をきらきらさせて、「滑りたくてたまらない」という様子になります。壁を乗り越えた自分をとても気に入っているような表情を見るのが好きでした。

生徒の1人が最終日、泣きそうな顔で「来年も絶対ここに滑りに来るね」と言ってくれたことを、よく思い出してしまいます。わたしはその翌年には雪山にいる予定がなかったので胸が痛みましたが、あの子はいま、わたしよりずっとスノーボードが上手になって、やはり毎年ソワソワしながら冬を待っているだろうと勝手に確信しています。
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by fit_business | 2008-10-26 13:55 | 今日の編集部